新メンバーのひかるです&グラフィックレコーディングと対話の親和性について

みなさん、はじめまして

新しくチーム・カノバの一員となりました、伊東ひかるです。

今回は、絵や図を使ったファシリテーション手法の一つグラフィックレコーディング(通称・グラレコ)について、お届けします。

 

場づくりとグラレコとの出会い

グラレコの説明の前に、ちょっとだけ私と場づくり&グラレコにふれたきっかけについて紹介させてもらえたら と思います。

普段、塾の講師として働いているのですが、数年前から子どもや周囲の人々と関わりあう中でほっとできる学び場・居場所」を作りたい と、思うようにました。

 

 

塾の大きな目的としては、個人の勉強レベルの向上を目指すことですが、同時に、みんなでたどり着く学びの楽しさもある と、思っています。

そんな気持ちから、みんなで一緒に「今」を楽しむことのできる温かい場をつくりたい と、思い描くようになりました。

 

以前、自作の絵を出展するアートイベントに出展させてもらってたのですが、絵を書くことは昔から好きでした。

そんな時に、福山未来共創塾2019に関わらせてもらうようになり、実施メンバーであるカノバの方々から「場づくりに関連する絵・図が融合する手法がある」という話を聞きました。

 

それが、グラフィックレコーディングでした。

 

画像出典:開催レポート:グラフィック・レコーディング講座

 

そこから、私の中で

  • 「グラフィックレコーディングで、場づくり・ファシリテーションの技術を深めていきたい」
  • 「グラフィックレコーダーとして活動していきたい」

という思いが、徐々に強くなってきました。

 

グラフィックレコーディングとは何か?

ここからは、グラフィックレコーダー(グラレコを描く人)である私の視点と体験をもとに、進めていきたいと思います。

まず、グラレコの基本的なポイントとして、

 

  • グラフィックレコーディングとは何か?
  • グラレコによって、対話は変わるのか?


というテーマがあると思います。

グラフィックレコーディングとは、議論や対話を絵や図などのグラフィックを用い、リアルタイムで記録していく手法のことです。

 

 

記録していくものは、ホワイトボードや模造紙・ロール紙など、一面に大きく見ることができるものに言葉や絵や図を使って表現していきます。

一般的に使われる場面としては、一般的に議論の場やミーティングなど「対話の生まれる場」で場所で使われています。

 

グラフィックレコーダーは何をするのか?

グラフィックレコーダーの役割ですが、会議やミーティングに参加すること自体が目的ではありません。

対話が行われている間、場にいる人の発言をよく聴いた上で頭の中で構造化して、模造紙やホワイトボードなどに絵や図でまとめていくことが、グラフィックレコーダーの役割です。

 

画像出典:開催レポート:ふくやま♡まちづくり大学「ファシリテーション講座 ホンネが引き出される”場”の作り方とは?」

 

ときには、描いたグラレコをもとに発言や視点の転換を促すといったファシリテーターの役目をこなすこともあります。

 

ですが、基本的にグラフィックレコーダー自身は、率先して議論や対話の答えを導くことはしません。
その理由は、その場にいる人たち自身が、自分たちで気づきやより良い成果を得ることを目指すからです。

※グラレコよりも、ファシリテーションにより重きをおいたファシリテーショングラフィックという言葉もあります。

 

グラレコによる効果とは

さて、ここまでなんとなく説明してきましたが、グラレコの一番の強み・ポイントとは何でしょうか?

それは、絵や図・グラフィックによる「視覚的な分かりやすさ」が、共通認識や相互理解の助けとなることだと思います。

 

GMO(遺伝子組換え作物)に関する動画を見て描いた自作のグラレコ

 

グラフィックレコーダーによる「対話を受け止めて、その世界観の絵や図を描く」という行為自体は、実は、場の安心感・受容や促進といったファシリテーションの役目も果たしています。

また、手書き・グラフィックならではの温かみが、場全体の雰囲気をより優しくして、親しみのある空間を作り出すことも手伝っています。

 

グラレコで対話は変わるのか

そうは言っても、まだグラレコ未体験の人にとっては、その効果についてピンとこない人もいることでしょう。
言葉では理解できたけど、それは本当にいいものなのか?絵にしたり分かりやすくすることが、本当に対話の促進につながるのか?

私自身、この問いについて常に考え続けています。

 

 

特に「視覚的な分かりやすさ=良いもの」と、安易に考えることは避けたいと思っています。
その時の対話によって、分かりにくい方が適切なこともあるかもしれません。

では、なぜグラレコをすると場が良くなるのでしょうか?グラレコによって、対話はどう変わっていくのでしょうか?

 

対話が変わったと感じた体験

ここからは、私がグラレコによって「対話の変化」を感じた体験を紹介します。それは、とある読書会でグラレコをさせていただいた時のことです。

その瞬間、劇的に「あ、いま変わった」と感じたことがありました。

 

 

話がひと段落した後に、ある方が「ここって◯◯だよね」とホワイトボードを指さし、そこからまた対話がはじまりました

その後、その話についてその場にいる全員で一緒に考えを出し合っていくということが、誰が促したわけでもなく、ごく自然に対話がスタートしたのです。

 

その時のグラレコ(アドラー読書会)。青字が後の対話で追加された部分

 

他にも「さっきの○○さんのここの発言は…」「これとここの違いは…」と、話に花が咲いていきました。

すでに出来上がりつつあったグラレコ上で、また新しい対話がはじまったのです。

 

誰かの気づきが他の人の新しい気づきを生み、
気づきの連鎖が自然に起こる

 

グラレコによって、個人の気づきが全体の気づきになる

決して一人では得ることはできない ”みんなで一緒に考えてたどり着く気づき”という一体感を間近で感じた出来事でした。

 

共につくる対話のあり方

ミーティングや対話の場でグラレコを描くたびに「会議やミーティングの内容が分かりやすくなりました」という声をもらうようになりました。

でも、『自分のグラレコが本当にその対話を変えたのだろうか?』と、内心疑問を抱えている部分もありました。

振り返ってみると、上記の体験を得るまでは、対話をただ追いかけるものとして、ホワイトボードに記録・レコーディングしていた部分があったように思います。

 

あの時のグラレコは、私だけでなく「その場にいる人と共につくっている」という感覚に初めてなりました。

描いているのは私ですが、私一人ではなく自然な場の一体感があり、新しい気づきが泉のように湧いてきたのです。

 

 そういう時のグラレコには、確かに対話を変える力がある と、個人的に感じています。

 

 

つまり、グラフィックレコーディングとは『共につくる対話のあり方』だと、私は考えています。

グラフィックレコーダーがそういう心持ちで居れば、グラレコならではの一体感と気づきが生まれる

 

私自身、常にそこを目指すグラフィックレコーダーでありたい と、考えています。

 


…ということで、これからはチーム・カノバの一員として、グラレコや自分なりの表現を用いてあたたかな場を作っていきたい と、思っています。

 

ここまで長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

(チーム・カノバ 伊東ひかる)
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