こんにちは、チーム・カノバの長嶺 充です。
2019年7月30日(火)、カノバの読書会「Book&Dialog vol.2」を開催しました。
今回は、読書会に加えてbeの肩書き作りワークショップ要素を大きく取り入れ、深い掘り下げの内面WSとなりました。
【終了】(満席)7.30(tue) : カノバの読書会【Book&Dialog】vol.2 ~「beの肩書き 」でワークショップ~
今回のみ、ワークショップのプログラムや意図も含めて、企画の進行とともに細かなレポート形式でお届けします。
そんな読書会・第2回目のテーマ本は、ソーシャルウェブマガジン「greenz.jp」の元編集長でもある
兼松佳宏さんによる「beの肩書き [人生の肩書き]は、プレゼントしよう」。
あらためて考えてみると、肩書きとは初めて会った人とやりとりする際に、自分が何者であるかを簡潔に伝えるもの。
この本では、肩書きを「普段どんなことをやっているか」という「do」の意味ではなく、
【あなたはこの世界にどういう存在としてあるのか?】
という「be」の形で考えてみませんか? という提案がなされています。
そもそもdoとbeの肩書きとは?
今回は、事前に本を読んでいない人でも対応できるように、まず「doの肩書き・beの肩書きのちがい」についての紐解き部分からスタート(参加人数は細かなサポート対応ができる上限6名)。
まずは「doとbeの肩書きとは?」の印象について、参加者からの意見をもらいました。下記にその一部を挙げてみます。
「do」とは? | 「be」とは? |
在り方 | していること |
内的なもの | 外的なもの |
社長 | 従業員 |
天職 | パートタイムジョブ |
その人らしさ、自然体 | 会社名、役職、仕事 |
葉っぱ | 根っこ |
「do」と「be」とで、それぞれが感じていることが幅広く集まりました。
いろいろ集まった中で、一番下の【do=葉っぱ】【be=根っこ】という例えが、参加メンバーの中で多くの同意を得ていました。
ここから、それぞれの内側の掘り下げワークへの進んでいきます。
根元欲求の掘り下げワーク
いつもの読書会は、最初のチェックインからチェックアウトまで約2時間の構成ですが、
今回はワークショップも時間も含むため、合計約2時間半のスケジュールです。
「参加者の人もちょっと長く感じるかな…?」と思いきや、
いざはじまってみるとそれぞれ時間を忘れて、一つ一つのワークに集中していました。
doの肩書き・beの肩書きのちがいを確認した後は、今回のワークで出てくる専門用語・キーワードの解説です。
ワークの中心となるキーワードは、『ユーダイモニア』と『ヘドニア』。
日常生活の中では聞かない言葉ですが、この言葉はギリシャの哲学者・アリストテレスが提唱した概念で、古代ギリシャ語の単語です。
わかりやすく言うと、ユーダイモニア(個人的充足感としての幸福感)とは、自分の中に秘めている可能性を発揮している時に感じられるもので、ヘドニア(快楽としての幸福感)は、どちらかというと少し受け身的なもの。
ここから、個人的充足感としての幸福感・ユーダイモニアを探る問いを、付箋に書き出していきます。
上記の他には、
- 時間を忘れて没頭するほど偏愛しているもの
- 誰からも頼まれていないのに作り続けてしまうもの
などなど、無意識にも取り組んでいる内発的にわき立つ・好きなものをあげていきます。
それぞれ幸福を感じているものが、たくさん集まりました。
次は、付箋に書き出されたものをさらに掘り下げていく根元欲求を探るワークですが、そのお題がこちら、
【このユーダイモニアの背後にある
あなたの根源的な欲求・欲望は何ですか?】
- どうして自分がそれを欲しているのか?
- なぜ・何のためにそれを必要としているのか?
日常の中で向き合うことのない好きなことに対する掘り下げと、それを人に伝えていく作業。
その言葉の真意を伝えるために、思いを言語化していきます。
その作業を経ていく中で、背後にひそんでいた新たに発見する気持ちの原石たち。
この深掘りのワークこそ、実は、この先に見出していくbeの肩書きの源泉になっていきます。
そして、お互いが感じた相手への気づきも、付箋に書いて伝えていきます。
もらったものが、自分が感じていたことと大きく外れていると、
「相手からはこんな風に見えていたのか!」と、驚くのと同意に
「外からはそんな風にも思われているのか…」という確認にもなったり。
自らの半生をストーリーテリング
ここからは、これまで掘り起こしてきたものを元に、それぞれのストーリー(半生)を一枚の紙に表現していくパートです。
まずは、これまでのワークで出てきた本質的な自分の根源的欲求を一文にまとめて、それを「問い」の形に変換していく作業から取り組みます。
その後、それぞれの半生を4つに分けます(例:中高期/大学期/社会人期/子育て期 など)。
そこから、中心にある問いに付随するエピソードを、それぞれの部分に書いていきます。
作成した問いを中心に置き、4つの枠に分けた上で、そこにタイトルをつけてみる。
そうすると、自分がこれまでどんな時代や変化を経て、いまここにいるのかということが自然と整理されていきます。
自分のストーリーを共有し、それを聴いた同じグループのメンバーからフィードバックをもらっていく。
フィードバックや感想をもらうことで、あらたな自分の要素や可能性にも気がつくことができます。
…気がつくと、各々のbeの肩書きの片りんが見えてきました。
肩書きをプレゼントし合って マウナケアスケッチを描く
ワークも大詰めの時間となってきました。
最後は、ここまでワークを共にしてきたメンバー2名に、自分なりに感じた相手の肩書きを考えていきます。
肩書きは、形容詞+名詞の形で、これまでの情報と印象を元に、互いに肩書きを授けていきます。
同じワークを共にしてきたメンバーだからこそできるとても温かなシーンです。
それぞれの肩書きをプレゼントし合った後は、イベント最後のパートです。
これまでのワークを経て出たきたことを、一枚の紙の上にマウナケアスケッチとして描いていきます。
マウナケアスケッチとは、ハワイ島の火山からとった呼称です。
書き方は自由ですが、一番上にdoとしての肩書きを島に見立て、真ん中のbeとしての肩書きをマグマに、そして一番下の名前はマントルを表しています。
これに加えて、beの肩書き・カノババージョンとして「自分の根底にある問い」をbeの肩書きの下に添えます。
ここに、自分の問いの表明(言うならば座右の問い)があるからこそ、beの肩書きとdoの肩書きに一本の芯が通っていきます。
ここまで3人の2グループでワークを行ってきましたが、最後はマウナケアスケッチとbeの肩書きを、参加者全員で共有し合います。
約2時間半に渡って、お互いの半生を語り合うとても濃いワークを経てくると、2時間半前まで何も知らなかった他人が とても他人とは思えなくなってくるから不思議です。
参加者からも、
- 「長年の知り合いのような感覚になった」
- 「もう家族のような気がする」
という声がありました。
このことからも、すべての場づくりにおいて やはり『良い関係性』と『適切な設定・問い』が重要なのだな ということを再確認した読書会&ワークショップになりました。
おわりに企画者の声を紹介
カノバのイベントでは、ある一つの理念を念頭において行っています。
それは、
という考えです。
今回の読書会&ワークショップでも、その様子が形となって現れてました。
スタッフとしてですが、みなさんのbeの肩書きが生まれる瞬間に立ち会えて、素晴らしい時間を共有させてもらいました。
…最後に、今回の読書会を企画して、独自のワーク・プログラムを作り上げた事務局長・野田直子のbeの肩書きに対する思いを紹介して、今回の開催レポートを締めくくります。
私がこの「beの肩書き」ワークショップを企画した背景をご説明します。
自分自身を振り返ると、beの肩書き的なものを意識した頃から、人生が急激に変わりました。「暮らしの豊かさって何だろう?」ということを考えだし、試行錯誤をしてきたこの10年。
この中で、実際に見えている行動【do】の下にある源泉・想い・志・問題意識【be】が共鳴すれば、あっという間に人と通じ合えて、豊かな関係性につながっていくと実感しました。対人関係だけでなく、自分自身においても、根底にある追い求めている「問い」【be】
を錨のように意識していることで、実際の行動【do】が変わって、出会いが変わり、自身がどんどん深化していくように思います。 ただ、この【be】
を明確に言語化する機会はなかなか無いものです。 私自身、メンバーと試行した結果、思いもよらなかった肩書に辿り着きました。
改めてこの言葉をみて、自分の人生において無駄なことは一つもなかった!と思い直しました
し、こう生きていこうというような指針が、 より自分の中でハッキリしました。 メンバーからもらう言葉で、
自分の輪郭がはっきりしてくる感覚もすごく面白かったです^^ そんなことで、「beの肩書ワークショップは、
自身の在り方を見つめ直したいと思っている方に、 絶対役立つはず!」と確信して、企画に至りました。 みなさまによい気づきがあったならば、何よりうれしく思います。
次回のテーマ本候補は?
カノバの読書会は引き続き企画していきますが、
次回のテーマ本の候補は、
- 嫌われる勇気 著者:岸見 一郎・古賀 史健
を予定しています。
もし、参加者の方から「この本、テーマ本にどうでしょうか?」というご提案がありましたら、お気軽にお知らせください。
次回の読書会の日程は、決まり次第、改めてホームページでもお知らせ致しますので、どうぞお楽しみに
(チーム・カノバ 長嶺 充)